ハザマ現場レポート

滝川ダム本体工事

(原稿執筆:東北支店)

福島県の水不足を補うため
全面緑化工法を採用したダムを施工中

工事の概要

 当現場のある福島県富岡町は、福島県浜通り地方のほぼ中央に位置し、阿武隈山地東斜面を源流に流れ出る富岡川の両岸に拓けた平坦な農業地帯である。これまで、同地区のかんがい用水は富岡川や既設のため池に依存してきたが、流程が短く流況が不安定な河川のため、しばしば水不足に見舞われてきた。
 滝川ダムは、福島県が富岡地区耕地818haのかんがい排水事業の一環として計画したもので、農業用水の安定供給を図ると共に、環境保全や動植物保護への貢献やダム湖「おおくら湖」による保健休養場の提供、県道整備による地域間交流の促進など、さまざまな役割を期待されている。

   

 

上空・上流側より撮影(H17.5)
下流側より撮影(H17.8)

工事の特長

主な工事の特長を以下に示す。

  • 堤高74.3m、堤頂長213m、堤体積275,000m3の重力式コンクリートダムを拡張レヤ工法で築造するものである。
  • 打設設備は、タワークレーン2基(13.5トン×75m、9.5トン×75m)を使用している。
  • 使用する骨材はすべて購入材で、粗骨材は下流約700mの地点にある既設砕石場からベルトコンベヤで搬送している。
  • 仮設備ヤードは、ダム堤体下流左岸側、減勢工擁壁部の背面を埋戻した部分となっている。
  • 法面工として、緑豊かな景観・自然環境にやさしい法面とするため、全面緑化工法が採用されている。
  • 掘削残土は、一般公道を使用してJH富岡インター工事現場へ運搬し、盛土材として流用している。
上流面図
標準断面図

 

主工事の内容

(1) 堤体コンクリート


 堤体コンクリートの打設方法は、以下の通りである。まず、バンカー線上をトランスファーカーで運び、待機しているバケット(4.5m3)に積み替える。次に、タワークレーンを使用して堤体内に設置するグランドホッパーへ移し替え、クローラダンプで堤体内の打設場所へ運搬し打設を行う。(9.5トン×75mは、2005年度の冬期期間に設置)
 クローラダンプは、近年、拡張レヤ工法打設において、ダンプトラックに替わって使用され始めている運搬機械である。車体上部のみの旋回で方向転換ができるため、狭い部分でも切り返しをせずにコンクリートを排出でき、ダンプトラックよりも便利である。

 

(2) 減勢工コンクリート
 底盤部では、次のように打設を行っている。まず、バッチャープラントからベルコン付ホッパーを搭載した10トンダンプトラック(通称:ラクダ)に積込み、減勢工打設場所まで運搬する。次に、コンクリートバケット(3.0m3)に積み替え、80トンクローラクレーンで運搬し、打設を行う。 
減勢工までの運搬に使用しているベルコン付ホッパーを搭載したラクダは、ハザマオリジナルの施工機械である。大志田ダムで初めて使用して以来、森吉山ダムに続き、当現場が3現場目の使用となる。

(3)堤体仮設工(仮設ヤード)
 当現場は、左右岸とも地形が急峻で仮設備ヤードの確保が難しいため、ダム堤体打設よりも先行して減勢工左岸擁壁部を生コンクリートで打設し、その背面を埋戻して仮設備ヤードを造成した。
 ダム現場では、通常、バッチャープラントを設置してからコンクリート打設を行うが、当現場では、上記の理由から、減勢工左岸擁壁部の打設に生コンクリートを使用した。
 生コンクリートのセメントには、普通ポルトランドセメントにフライアッシュを20%置換した混合セメントを使用した。

   

(4)法面保護工
 全面緑化の補助工法として、連続繊維補強土工・長繊維補強土工を採用。連続した繊維と砂質土と水を吹付けて法枠面を覆い、その上に植生を行うものである。

   

現在の状況

 2005年7月7日に定礎式を無事終え、2008年3月の竣工に向けて、JV職員一同力を合わせて、昼夜堤体打設を進めているところである。

現在の状況(上流仮締切より望む)

 

工事概要

工事名称 かんがい排水(一般型)第1401号工事 富岡地区(滝川ダム本体工事)
工事場所 福島県双葉郡富岡町上手岡地内
企業者 福島県
工期 2002.10.15〜2008.3.19
施工 ハザマ・三幸建設工業・庄司建設工業JV(うち当社50%)
工事数量 堤体および減勢工掘削V=350,000m3
堤体コンクリートV=275,000m3
基礎処理工(カーテン)L=7,500m(コンソリ)L= 2,200m
諸工事 堤体仮設工 仮設電気設備工 産業廃棄物処理工