ハザマ現場レポート

真里谷第4トンネル工事
圏央道真里谷第4トンネルその2工事

(原稿執筆:関東土木支店)

千葉県内で最初に着手した圏央道のトンネル工事
古くは海の底だった難しい地質を新技術で掘削中

はじめに

トンネル坑口(2005年10月撮影)

 圏央道(首都圏中央連絡自動車道)は、都心から半径約40〜60kmの位置に計画されている延長約300kmの自動車専用道路である。圏央道の整備による効果として、
(1) 首都圏の道路交通の円滑化
(2) 沿線都市間の連絡強化と、沿線の地域づくりの支援、活性化
(3) 災害時等の緊急輸送路の確保などが期待されている。
 真里谷第4トンネルは、房総半島の中央部を東西に走る圏央道茂原〜木更津間(L=28.5km)に位置し、同区間で最初に工事着手したトンネルである。掘削方法はシールドではなくNATMであるが、未固結な砂質土が主体の地質であり、掘削中にトンネルの崩落が発生する危険性が高い。今回は、崩落事故を防止するために採用している「掘削補助工法」の話を中心とした現場レポートをお届けする。

 

掘削補助工法なしでは掘り進めない

 トンネルの地質は第四紀層の下総層群藪層に区分され、細砂およびシルト混り細砂が主体である。砂層には部分的に貝殻(化石ではない)が含まれており、現在トンネルを掘っている部分が昔は海の底だったことが分かる。地質の専門家によれば、これらの貝殻は約200万年前のものだということ。ちなみに現在のトンネルは標高約50m付近にある。
事前の地質調査によれば、トンネル掘削部分はN値50以上のよく締まった地山であり、坑口部など土被りの小さい部分を除けば通常のNATMで掘削可能だと想定されていた。
 しかし、2004年7月から実際に掘削を開始すると、地山は比較的よく締まっていて一見固く見えるのだが、砂質土であるため粘着力がなく、さらに地下水がトンネル内に浸み出してくるため、掘削とともに切羽(トンネル先端の掘削面付近のこと)の土塊が次々に抜け落ちてくるという状態が続いた。イメージが湧かない人は、前述の貝殻の話を思い出してほしい。昔は貝の住む砂の海底だったところ(約200万年前のことだが、地質の世界ではほんの一昔前)にトンネルを掘っているのである。
 このような地質条件でトンネルを掘るためには、崩落を防ぐための「掘削補助工法」が必要である。トンネルを掘り進んでも地質状況にはほとんど変化が見られず、これまでのところ全区間で「掘削補助工法」を採用している。

トンネル内に出てきた貝殻
切羽の地質状況
トンネル掘削状況

 

新技術の掘削補助工法を駆使

 掘削中の崩落を防ぐために真里谷第4トンネルで採用している掘削補助工法は以下のとおりである。 

  1. 核残し(高さ3m×幅4.5m×奥行き2〜3m程度)
  2. 鏡吹付けコンクリート(標準厚さ5cm)
  3. 分割施工(切羽面を2〜5分割し、掘削・鏡吹付けを繰り返す)
  4. 注入式長尺先受工(FIT工法、水ガラス系注入材)
  5. 鏡ボルト(FIT工法、水ガラス系注入材)
  6. 水抜きボーリング(削孔長L=80m×2本/1回)

 ここで詳しく述べるのは、注入式長尺先受工および鏡ボルトである。これらには新技術であるFIT(FRP Injection Tube)工法を採用している。
 従来の注入式長尺先受工では、鋼管を地山に打ち込んでいたが、FIT工法では鋼管の代わりにGFRPチューブ(グラスファイバー製の中空管)を使用する。従来の鋼管に比べて強度は若干劣るものの、軽量で取り扱いが楽なため施工スピードが上がるとともに、作業員の負担を大幅に軽減することが可能となった。また、鋼管と違って掘削機械で削ることができるので、トンネル掘削断面内に打ち込む鏡ボルトとして使用することが可能である。
 このFIT工法による注入式長尺先受工(26本/回)と鏡ボルト(11本/回)をトンネル掘削8mに1回のペースで繰り返し、トンネル切羽前方の地山を事前に固めながら、慎重にトンネルを掘り進んでいる。

FIT工法(注入式長尺先受工、鏡ボルト)のイメージ図
FIT工法施工状況

 

現在の状況

 「真里谷第4トンネル工事」は2005年10月31日に無事故で竣工し、トンネル全長L=886mのうち掘削工L=496m、インバート工L=417m、覆工L=303mが完了している。
 引き続き我がハザマ・不動JVが受注した「圏央道真里谷第4トンネルその2工事」は2005年11月14日に掘削を開始した。トンネル貫通まで、これまでと同じ厳しい地質条件が続くと予想されるが、JV、協力会社一丸となって無災害での竣工を目指しているところである。

覆工まで完了した区間
掘削完了区間

 

多くの方々が見学に訪れる

 真里谷第4トンネル工事は千葉県内の圏央道で最初に着工したトンネル工事であり、また技術的に見所が多いことから、地元の方々をはじめ、自治体関係者、高校生、親子見学会など数多くの見学会が開催され、これまでの現場見学者は700人を超えた。

トンネル坑口で記念撮影(親子見学会)

 

工事概要

工事名称 真里谷第4トンネル工事
圏央道真里谷第4トンネルその2工事
工事場所 千葉県木更津市真里谷地先〜茅野地先
企業者 国土交通省 関東地方整備局(千葉国道事務所)
工期 2003.3.7〜2005.10.31(真里谷第4トンネル工事)
2005.10.29〜2007.3.31(圏央道真里谷第4トンネルその2工事)
施工 ハザマ・不動JV(うち当社60%)
概要 トンネル延長 :L=885.8m 
内空断面積A=71m2(インバート部含む、完成形ではA=65m2
掘削断面積A=86〜90m2(非常駐車帯A=114m2
掘削工法・方式 :上半先進ベンチカット工法・機械掘削方式(NATM)
坑門工:2個所(面壁型)
地質:第四紀層の下総層群藪層に区分され、細砂およびシルト混り細砂が主体