ハザマ現場レポート

幌延深地層研究センターPR施設(仮称)新築工事

(原稿執筆:札幌支店)

高さ50mの展望台を持つ
地層処分技術に関するPR施設が完成

工事概要

 北海道の北部、利尻礼文サロベツ国立公園近傍に位置する幌延深地層研究センターは、日本原子力研究開発機構による、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術(地下300m以深の安定した岩盤内に粘土で包み込んで埋設する技術)に関する研究開発のための施設であるが、情報公開を徹底し地元の理解を得るために、高さ50mの展望タワーと展示スペースからなる当施設が計画された。
 1階は多目的室、インフォメーション、地元のための展示スペースが設けられている。そして、疑似体験用エレベータ「VT500」で500mの擬似降下体験をしながら地下1階へ進むと、地中500mの世界が繰り広げられ、さまざまな地下の情報を得ることができる展示スペースとなっている。
 展望タワーの高さは、深地層研究竪坑の深さ500mにちなんで50mとなっており、さらに、展望室の床レベルは、≪北緯45度のまち≫幌延にあやかりGL+45m(地上45m)である。外壁は、タワー軽量化のためにGRC(耐アルカリガラス繊維強化セメント)パネルとし、この地域の地層の層厚や傾斜にあわせて3層に塗り分けている。エレベータで展望室に上がると、深地層研究センターのエリア全体はもちろんのこと、遠くは利尻富士まで望める。

幌延深地層研究センターPR施設 「ゆめ地創館」 全景

 

展望階から利尻富士をのぞむ
展望階から敷地全体をのぞむ

工程、品質確保の裏側

アンカーセットの様子

 幌延は「風力発電」で知られているが、一年を通じて風が強く、いかに施工精度をあげて工程、品質を確保するかが問われる工事であった。
 工程管理の方向性を決め、根切工事がスタートして間もなく、土質の問題が発生したために、現場が2か月間中断することとなり、全体工程の見直しを余儀なくされた。その後、躯体工事仕上工事と進み、強風の中での50mタワー鉄骨組立が、最大のヤマ場であった。
 当たり前のことを当たり前にやることが大事と考えた。  JV職員、協力業者で打合せを重ね、工程については、朝晩の予実績管理・打合せを徹底。品質については、墨だし・アンカーセットから、鉄骨建て方・本締めまで各工程におけるチェックに最重点を置き、協力業者の自主検査、JVの社内自主検査に加え、企業者の立会い検査も実施し、確実に要求事項を満足させるよう取組んだ。その結果、要求精度である垂直誤差2000分の1以内をクリアし、無事にタワー工事を終えることができた。

鉄骨建て方
GRCパネルの取り付け

 文頭で紹介した疑似体験用エレベータ「VT500」。このエレベータに乗り込むと施設概要の説明が流れる。説明を聞きながら5分ほど揺られると地下に到着する。「擬似」の名の通り、その場所は地下500mに位置するわけではない。一体、地下何mに位置するのか。地下100m?10m?5m?いずれも不正解!正解はGL±0、つまり地上1階部分に位置している。

基礎部分の工事

 では種明かし。地下となるフロア、そして地上1階部分となるフロアの順で施工する。この段階で、外観は地上2階建ての建物のように見える。地上1階となる部分が完成し、外部足場を取り外した後、1フロア分盛土を行うと地下が完成する!

 

施工中(盛土前)と完成後(盛土後)の比較
右写真の芝に覆われた盛土部分に地下フロアが隠れている

衝撃の所長交替劇

 工事担当は、JV構成会社より各1名、ハザマからはジョウダン佐々木(所長)、岩倉建設からツリキチ小南(主任)、田中組からナイトキング小野という三者三様の面々がそろい現場がスタートした(筆者が登場するのはずっと後のこと)。
 着工当初は歯車がかみ合わない場面もあったようだが、朝礼・終礼において前任の佐々木所長の持前のユニークなキャラクターを十分に生かし、お互い信頼関係を構築することで、前述の難問をクリアすることができたと聞いている。
 (ここで筆者の登場)竣工半年前に諸事情により、筆者が幌延作業所所長辞令を受取り現場に赴任。赴任直後は、現場を十分に把握しない間に仕上げ工事がどんどん進んでいることが少々不安であったが、佐々木所長が構築したJV職員との信頼関係のおかげで、不安が解消されるのに時間はかからなかった。
 着任してからは、展望階タワーにエレベータが設置されていなかったため、鉄骨らせん階段を片道約5分かけて昇降しなければならず、慣れるまでは筋肉痛との戦いであった。
 最後に一言。竣工引渡しを無事に完了し、この6月30日には開館式に参列させて頂くことができましたのも、企業者である日本原子力研究開発機構様をはじめ、関係協力会社の皆様、社内の関係者の方々のおかげと、厚く御礼申し上げます。

 

工事概要

工事名称 幌延深地層研究センターPR施設(仮称)新築工事
工事場所 北海道天塩郡幌延町字北進432−2
企業者 独立行政法人 日本原子力研究開発機構
監理 独立行政法人 日本原子力研究開発機構
設計 株式会社開発設計コンサルタント
工期 2005.10.3〜2007.5.30
施工 ハザマ・岩倉・田中JV(うち当社50%)
S造  地下1階 地上1階 展望階1階
工事概要 建築面積 1077,14m2 延べ床面積 1998,21m2 最高高さ 50m(展望階)