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液状・固体に成型可能な低コスト中性子遮蔽材料を開発
〜従来の遮蔽材料よりも格段に性能アップ〜

2002年12月18日

 ハザマ(大和文哉社長)は、従来の普通コンクリートに比べ約2倍の中性子遮蔽性能を持ち、液状・固体にも成型可能で安価な中性子遮蔽材料を開発した。
 中性子は、放射線発生装置としての高エネルギー医療用加速器(PET、LINAC)や研究用加速器、そして原子力関連施設等で発生する放射線の一種であり、安全上徹底した放射能の遮蔽が求められる。 
 近年、がんの早期発見のためにPET(注1・Positron Emission Tomography:陽電子断層撮影法)による診断が増加しており、高エネルギーの医療用加速器の需要が伸びている。2002年度医療白書によれば、全国で約60台のPET診断装置が稼動しているが、今後同装置は200台以上必要になると予測されており、医療関連施設等において相当量の中性子遮蔽材料の需要が見込まれる。
 
 従来、物質透過力が強力な中性子の遮蔽では、普通コンクリートで厚い壁を造ったり、扉などにはポリエチレンと酸化ホウ素を混合した材料等を使用している。
 ハザマが開発した中性子遮蔽材は、
@ エポキシ樹脂などの常温硬化樹脂及び硬化剤と
A ホウ素を含有し、かつ安価な天然岩石である灰ほう石(注2)の粉末を混ぜ合わせたものである。
 これは、従来の普通コンクリートの約2倍の遮蔽性能(注3)を持ち、またポリエチレンと酸化ホウ素を組み合わせた既往の遮蔽材料の1/3〜1/4のコスト(同質量比の場合)である。
 本遮蔽材は、硬化剤を添加する前では液状のまま使用することができるので、直線や曲面などを多用した複雑な形状の構造物にも容易に適用できる。また、硬化樹脂の選択により耐熱温度を最大200℃まで高めることができ、既往のポリエチレンを使用した遮蔽材の耐熱温度80℃を上回る性能を提供できる。

 本遮蔽材は液体または、固体での使用が可能で、耐熱性能が高いという特長を有する材料であり、施設の新築、改修工事における従来の施工方式での利用のみならず、パネル成形による乾式工法、型枠内に流し込ませる湿式工法、その他二次部材として様々なシーンに適用可能である。また、複雑な形状の中性子輸送容器にも液状の本遮蔽材を流し込み、利用することもできる。
 当社では医療・研究の高度化と安全性の確保、環境への配慮、コスト縮減のそれぞれの背景に対応する新しい遮蔽材として、本遮蔽材を医療関係や研究施設、または原子力関連施設などへの普及を進めていく予定である。

 なお、当社は、建設会社としては唯一つくば技術研究所内に中性子線源を有する放射線実験施設を保有しており、本施設を活用して様々な用途開発を実施している。
 現在、本遮蔽材の使用材料及び製造方法に関して、特許出願中である。

注1)PET診断(正式名:Positron Emission Tomography)
 ガン細胞が普通の細胞に比べてブドウ糖を多く取り込む性質を利用して、ガン細胞の存在の有無を調べる検査方法。臓器の形の異常からガンを発見するCTよりも、PETのガン診断精度は10%上回る。放射性物質を結合させたブドウ糖を注射して全身を撮影するものである。この薬剤を製造するのに医療用加速器などが必要になる。

注2)灰ほう石はトルコ産の岩石であるが、日本国内へ安定供給されている。なお、ホウ素が含まれる安価な材料としてホウ酸もあるが、ホウ酸は殺虫剤にも使用されており人体への毒性が懸念される。

注3)遮蔽性能試験結(実験値及び数値解析結果)
 試験場所:ハザマ技術研究所 高レベル実験室 
 シミュレーション計算:遮蔽シミュレーションコード MCNP 4Bを使用して算出した。   
 グラフの見方:縦軸の中性子線量減衰率は、1が遮蔽効果ゼロを意味している。10-1が1/10に減衰することを示しているおり、以降10-2が1/100に減衰、10-3が1/1000に減衰することになる。


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中性子遮蔽材料をパネル状に成型したもの(800×800×50mm)

 

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