
日本ではほとんど例のない、老朽化した化学兵器処理を完了
2004年4月28日
平成16年3月、日本ではほとんど例のない旧日本軍による老朽化した化学兵器の除去工事が無事完了しました。今回はその除去工事について報告いたします。
庁舎建築工事から老朽化した化学兵器除去へ
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2003年4月 最初に発見されたガラスビン
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平成15年4月3日、国土交通省関東地方整備局発注の平塚第2地方合同庁舎建設現場から広口ビン1個と球状ビン3個が発見されました。
発見された球状ビンからは硫酸水溶液が、ビンの周りで採取した土壌4検体のうち、2検体から微量の「マスタード及びその関連化合物」が、別の1検体から痕跡程度の「くしゃみ剤の関連化合物の疑いのある物質」が、さらに別の1検体から「環境基準の約6倍のヒ素」が検出されました。さらにその後の試掘で発見された球状ビンからシアン化水素(青酸)が検出されました。
現場は旧日本軍が化学兵器を研究していたとされる相模海軍工廠(こうしょう)の化学実験部の跡地でした。その後、関東地方整備局、神奈川県、神奈川県警、平塚市による「平塚第2地方合同庁舎工事現場の危険物に関する安全対策連絡会議」や化学、環境、廃棄物、医療、労働衛生の専門家で構成される「平塚第2地方合同庁舎危険物の調査等に関する有識者委員会」など危険物対応に関わる体制が組織され、以降の調査および対応方針の検討にあたることとなりました。
当社が担当していた合同庁舎の建築工事は、4月4日付けで一時中止され、この時点からハザマ平塚合同庁舎作業所は、日本ではほとんど例のない「老朽化した化学兵器等の除去を含む安全化措置」の実施を担当することとなりました。
安全を最優先に全社でバックアップ
「なにしろ前例のない作業なので、発注者である関東地方整備局とは綿密な協議を繰り返しました。また国内の各方面の専門家だけでなく、ハザマ独自で、イギリス国防省国防科学技術研究所(DSTL)の専門家も招聘し、除去作業計画の策定を行っていきました」(吉原一彦所長)
計画の際は、周辺環境や作業環境の安全を最優先に考え、環境修復事業部や技術研究所からこの分野の専門家がプロジェクトチームに加わり、具体的な処理設備や除去の仕組みを検討していきました。
敷地全体の調査から対象範囲を絞り込み、また想定されるリスクの整理と事前の十分な検討を経て平成15年12月から、本格的な老朽化した化学兵器の除去作業が開始されました。
掘削場所にはクリーンルームの技術を応用した二重シェルターを張り巡らせ、有識者の意見を採り入れてこの作業のために新しく開発した排気除染装置を24時間連続稼動する態勢で臨みました。その結果、たとえシェルター内で有毒ガスが発生したとしても、何段階にもわたった安全バリアで周辺環境に影響を及ぼさないような万全の体制を構築しました。
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不審ビン等除去作業の概観
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エアラインスーツ着用での不審ビン発掘の様子
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一方、万が一の場合の警報体制は勿論のこと、作業環境の安全を常時確認するために、インターネットカメラを利用し、モニターでシェルター内を遠隔監視するとともに、掘削のための重機械も遠隔操作により無人化しました。
「ただし、遠隔操作・遠隔監視によって不審ビンを確認した後は、十分な教育・訓練を受けたハザマの社員及び協力会社の精鋭が防護服を着用して回収作業にあたりました。作業内容およびリスク管理に熟知した少数精鋭で作業にあたったことで、より安全性を高めることができました。」(吉原一彦所長)
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インターネットカメラによる遠隔モニタ
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分析作業の様子
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世界でも例のない青酸の無害化処理を実施
今回の本掘削における除去作業により445本の不審ビンを発掘・回収し、液体等が残留していた385本について、現場に設置した安全密閉型分析装置を備えた分析施設で分析を行い、そのうち101本から青酸が検出されました。
「最終的に青酸は化学処理により無害化したうえで、産業廃棄物として処理しましたが、今回採用した無害化処理までを一連としたシステムは、世界初と言っていいと思います」(吉原一彦所長)
また、マスタード、ヒ素、フッ素などで汚染された土壌についても併せて現地で無害化処理等を行いました。今回の工事では、安全を最優先とした作業を徹底し、無事3月一杯で除去・安全化措置を完了することができました。
「本件ほどリスク管理の難しい工事は、国内では稀有と考えられますが、今回の除去・分析・処理作業で得たさまざまな経験は今後の土壌環境修復分野でも大いに役立つと考えています」(福岡隆志環境修復事業部長)
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化学兵器処理にあたった少数精鋭の面々
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