
道路トンネル分岐合流部構築『ウィングプラス工法』を実用化
−実証実験を完了し実プロジェクトへの適用にめど−
2006年6月7日
ハザマ(社長:新名順一)、JFEエンジニアリング(社長:斎藤 脩)、青山機工(社長:信定隆宇興)の3社は、都市道路トンネルの分岐合流部構築工法である『ウィングプラス工法』*注1の実用化に向けた各種の実証実験を先ごろ完了させ、同工法の実プロジェクトへの適用にめどをつけました。
大都市圏では、慢性化する交通渋滞を解消するため、大深度地下を利用した環状道路トンネルなどの道路整備が急がれています。これらのトンネルへの出入口やジャンクションといったトンネル分岐合流部の施工にあたっては、工事用地確保や交通阻害といった問題が少ない非開削工法による構築が必要となっています。また、道路トンネルのみならず、従来は開削工法によって施工されてきた鉄道分岐合流部や共同溝の連結部などでは、安全性や経済性に優れた非開削工法の技術開発が求められています。このような要求に応えるため、3社では2004年10月に分岐合流部を非開削で構築する『ウィングプラス工法』を開発し*注2その後、1年半にわたって実用化に向けた実証実験を実施してまいりました。
ウィングプラス工法は、シールド胴体部からアーチ型掘進機を張り出し、道路トンネルの構築と同時に分岐合流部の拡幅施工に必要な防護工(先受けアーチシェル)を造成する工法です。その主な特長は下記の通りです。
- 高剛性の先受アーチによって周辺地盤の緩みを防止するため、地表面沈下の抑制効果が大きい。
- トンネルに沿って連続的に先受アーチを造るため、高い止水性を得ることができる。
- シールド掘進しながら同時に先受アーチをつくるので、防護工の工程を約25%短縮することができる。
- 先受アーチを造成することにより大規模な地盤改良を省略するため、切り拡げの工費を20〜35%低減することができる。
実証実験では、二分の一から三分の一の大きさの実験機を製作いたしました。この実験機を用いて、1. アーチの掘削、2. 先受けアーチの打設、および、3. アーチ型掘進機の姿勢制御、といった主要な3つの技術課題について、実施工に近い条件で実証実験を行いました。
アーチの掘削実験*注3では、今回新たに開発したアーチカッターを用いて軟岩の模擬地盤を掘削し、カッターの掘削性能を確認いたしました。
アーチの打設実験*注4では、大深度地下における施工状況を再現するため、0.5MPaの水圧が作用する土槽を準備いたしました。その土槽内において先受けアーチコンクリートを打設し、アーチの品質・強度に問題のないことを確認いたしました。
アーチ型掘進機の姿勢制御実験*注5では、アーチ型掘進機の模型にシールド施工時の変位と回転を再現して与え、張出し部分に採用したパラレルリンク機構*注6により、リアルタイムの姿勢制御が可能であることを確認いたしました。
これらの実験の結果をもとに、カッタービットの改良やアーチ打設方法の見直しなどをおこない、実用化に向けた技術課題を解決いたしました。3社では今後、大都市圏の道路プロジェクトを主なターゲットとして、同工法の営業展開を図ってまいります。
注1)ウィングプラス工法: Wing-PLAS工法。Wing - Pre - Lining Arch Supportの略

《適用事例》

注2) ウィングプラス工法の開発に関するプレス発表:2004年10月29日
http://www.hazama.co.jp/pressrelease/2004/041101.html
実施時期: 2005年1月〜2005年4月
実験場所: JFEエンジニアリング(株)鶴見工場(横浜市鶴見区)
実験概要:
アーチカッターはカッター軸をユニバーサルジョイントで連結した新しい掘削機構である。1/2スケールの実験機を製作し(写真1、図1)、道路プロジェクトが予定される大深度の硬質地盤(一軸圧縮強度3N/mm2以上)を想定して掘削実験を行った。
実験の結果、円弧形状のスリットを問題なく掘削できること(写真2,3)が実証されたほか、カッタービットの形状や配置による掘削性能への影響が把握され、実機の設計に反映される様々のデータを得ることができた。
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写真1 アーチカッター |
図1 アーチカッター概要図 |
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写真2 円弧状に掘削された模擬地盤 |
写真3 円弧状に掘削された模擬地盤 |
実施時期: 2005年7月〜2005年9月
実験場所: ハザマ技術研究所(つくば市)
実験概要:
アーチ型掘進機の後胴部は、機体の剛性を確保するために隔壁で仕切られた構造となっている。先受けアーチは後胴部で打設されるため、隔壁によるテールボイドにコンクリートを確実に充填し、先受けアーチとしての連続性を確保することが重要である。そこで、1/2スケールの実験装置により、打設方法の有効性と打設したコンクリートの品質を確認するための実験を実施した(写真4、図2)。
圧力土槽内に砂を投入して緩い砂地盤を模擬し、0.5MPaの高水圧をかけてコンクリートを打設した結果、地盤を緩ませずに計画通りの出来型(写真5)で打設することができた。打ち継ぎ部(写真6)の品質・強度も設計を満足しており、高水圧の作用する大深度地下でも高品質の先受けアーチを構築可能であることを実証することができた。
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写真4 実験装置内部 |
図2 打設実験概要図 |
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写真5 試験体の出来形 |
写真6 試験体の切断面の状況 |
実施時期: 2006年1月〜2006年3月
実験場所: JFEエンジニアリング(株)鶴見工場(横浜市鶴見区)
実験概要:
アーチ型掘進機は大断面シールド機から張り出した状態で掘進することにより、トンネル構築と同時に切り拡げ防護のための先受けアーチを造成する。このため、アーチ型掘進機とシールド機で形状・大きさが異なることから、掘進中の相互の挙動の違いによりアーチ型掘進機の張出し部(図3)に大きな負荷がかかる恐れがある。この挙動の違いを吸収する機構としてパラレルリンク機構(写真8)を採用している。
実験では1/3スケールのアーチ型掘進機の張出し部の模型を製作し(写真7、図4)、アーチ型掘進機の模型を加圧水槽内に張り出した状態でシールド機の掘進中の動きを再現し、アーチ型掘進機の姿勢制御性能と張出し部の止水性能について試験した。
実験の結果、パラレルリンク機構によって、シールド機の挙動に応じてアーチ型掘進機の姿勢をリアルタイムで制御できることを実証した。また、取り付け部の止水性についても確認された。
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図3 アーチ型掘進機の張出し部 |
図4 張出し実験装置の概要図 |
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写真7 張出し実験状況 |
写真8 パラレルリンク機構 |
注6) パラレルリンク機構: 上下、左右、前後、ピッチ、ロール、ヨーの6動作を自由に制御するための機構。航空機のフライトシミュレータや産業ロボットなどに利用されている。












