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コンクリート表面のひび割れ幅 評価手法の開発

− ハザマ・(株)ファースト −

2007年7月4日

 ハザマ(社長:新名順一、東京都港区)と潟tァースト(社長:牧野正勝、神奈川県大和市)は、コンクリート表面のひび割れ幅を正確に測定できるひび割れ幅測定器を共同で開発いたしました。
 本測定器は*注1、長さ10mmから15mmの区間のひび割れについて、400箇所前後のひび割れ幅を連続的に測定し、統計的に処理してこの区間のひび割れ幅を表示するものです。
 コンクリート構造物に発生するひび割れは、鋼材の腐食による耐久性の低下、水密性・気密性等の機能の低下、過大な変形や美観の低下などの原因となることから、各国の設計基準や指針では許容ひび割れ幅を決め、ひび割れ幅を制限するなどの対策を示しています*注2。
 また、ひび割れに起因するコンクリート構造物の早期劣化が社会的問題となったのは記憶に新しいところで、品質保証に対する要求が高まっています。このような社会的要請の中で、国土交通省大臣官房技術調査課から土木コンクリート構造物の品質確保について通達されており、その内容は、重要構造物についてはひび割れ発生の状況を調査し、0.2mm以上のひび割れ幅については展開図を作成して提出することとなっています。
 しかし、連続した一本のひび割れであっても、ひび割れ幅は一定でないのが実状であって、どの位置で測定するかによってひびわれ幅は異なります。また、従来から使用されていますクラックスケール*注3は、目盛りが飛び飛びですので、細かな判定は困難ですし、測定者によって読み取り値が異なる場合が多々あります。
 コンクリート技術者にとってひび割れは昔からの大きな関心ごとであり、ひび割れ幅が、コンクリート構造物に対して大きな影響を与えることが広く認識されているにも関わらず、ひび割れ幅自体の定義もなく、また、その測定方法について標準化されたり規格化されたものは今日でも見当たりません。
 そこで、ハザマは、学識経験者や事業者などを対象に広くニーズを集約し、連続的にひび割れ幅を測定し、測定精度を大幅に改善できる測定仕様を立案し、これを受けて専業画像処理メーカのファーストが長年の経験と技術を活かした機器の開発を担当しました。試作と試用を繰り返し、商品化に至りました。
 本測定器は、測定したい領域にカメラをあわせ、カメラとUSBケーブルで接続したパソコンの画面を見ながらワンタッチでひび割れ幅を測定できます。測定結果は測定場所や位置情報とともに保存でき*注4、そのまま報告書データとして活用できます。また、ひび割れ幅のヒストグラム*注5やプロファイルの表示*注6を行いますので、適切な測定が行われたかどうかはその場で判定できます。
 特に、ひび割れが枝分かれしていたり、周辺に気泡や汚れがあっても、これを避けて測定領域を選定できます*注7。また、測定したひび割れについては変色表示しますので、その場で適切な範囲を測定できたかどうかの判定が可能です。また、画像を保存することによって、後からでも適正な測定ができたか確認することが可能です。
 この測定器では、幅0.05mmから2.0mmまでのひび割れに対してひび割れ幅を0.01mm単位で表示します。さらに、測定精度は、±0.02mm以内であることを確認しています。測定に要する時間は1秒以内で、データはCSV形式で、画像はJPEG形式で保存します。
 この測定器を用いて、壁に発生した長さ2mのひび割れについて80箇所(長さでは1.2m)のひび割れ幅を測定し、その分布を調べました*注8。約3万個の測定値の平均は0.61mm、最大から5%番目の測定値は、0.99mmでした。このことから平均ひび割れ幅は0.61mm、最大ひび割れ幅は0.99mmと評価できます。このように一本のひび割れについて、その幅の分布を詳細に調べた報告例は見当たりません。
今後は、コンクリート構造物を点検する際のひび割れ幅の測定と記録や保存に、あるいは、ひび割れ幅によって補修の要否を判定する際の根拠に、鉄筋コンクリート構造物の構造実験におけるひび割れ幅の測定に、さらには、新設構造物しゅん功検査時におけるひび割れの記録など、精度良く客観的なひび割れの評価を行うことによって、社会的要請の強いコンクリート構造物の長寿命化に貢献していきます。このために、広く活用していく予定です。


注1)ひび割れ幅測定器の外観
 携帯型のひび割れ幅測定器は、カメラ部とパソコン部およびこれらを繋ぐUSBケーブルからなっています。

注2)土木学会コンクリート標準示方書[構造性能照査編]表7.4.1 には、以下のとおり許容ひび割れ幅wa(mm)が示されています。かぶりCによって許容ひび割れ幅は異なりますが、たとえばかぶりが40mmの場合には、許容ひび割れ幅は、0.20mm、0.16mm、0.14mmと極めて小さな値となっています。

鋼材の種類
鋼材の腐食に対する環境条件
一般の環境
腐食性環境

特に厳しい
腐食性環境

異形鉄筋
普通丸鋼

0.005C
0.20mm

0.004C
0.16mm

0.0035C
0.14mm

PC鋼材

0.004C
0.16mm

−
−

許容ひび割れ幅(Cはかぶり、下段はC=40mmのひび割れ幅)

注3)クラックスケール
 クラックスケールを用いる方法がもっとも普及している測定方法です。基準の太さを有する直線をひび割れにあてがって幅を求めるものですが、読み手の主観が入ったり、あてがう位置によっては個人差が生じます。

注4)パソコンの画面
 測定前に構造物の名称や測定場所、測定位置を入力しておくと、データと同時に保存できます。
 ライブの状態で、測定したいひび割れが画面の中心に来るよう、また、ひび割れがほぼ直線とみなせる位置にカメラを移動させます。次に測定領域(緑の枠)を選択して、測定します。画面には、測定領域を示す枠と、測定したひび割れがその幅の大きさによって青色から赤色に順次着色されて表示されます。

注5)ヒストグラム
 ひび割れ幅のデータはほぼ400個前後となりますが、これらは0.05mmごとの区間のヒストグラムとして表示できます。これによってひび割れ幅の分布を知ることができます。

注6)プロファイル
 測定領域にあるひび割れ方向のひび割れ幅の変化を知ることができます。これによって最大値が異常値かどうか、測定が適正でない箇所があるのかどうかを判定できます。

注7)枝分かれしたひび割れや気泡が存在する場合には測定領域を選択することによって測定したいひび割れを特定できます。

注8)長さ2mのひび割れに対して3万個の測定値の分布から平均ひび割れ幅と最大ひび割れ幅を判定しました。

 

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