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普通コンクリートの1.7倍の遮蔽性能を持つ中性子遮へいコンクリートを開発

−放射線施設の壁厚低減、室内空間の拡大が可能に−

 ハザマ(社長 新名順一)と大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)(機構長 鈴木厚人)は、普通コンクリートに比べ約1.7倍(約40%の壁厚減)の中性子遮へい性能を持ち、強度や長期的耐久性も普通コンクリートと同等以上である新たな中性子遮へいコンクリートを開発した。

 高エネルギー加速器研究機構は加速器に関連する様々な研究開発を実施しており、またハザマは以前より、人体被曝への影響が大きい中性子に対する遮へい材料の研究開発を行っており、過去に「樹脂系中性子遮へい材(商品名:エポナイト)」及び独立行政法人 日本原子力研究開発機構と共同開発した「耐熱型中性子遮へい材」を開発している。

 新たに開発した中性子遮へいコンクリートは、中性子を減速させる水素を多く含んだ特殊骨材と、中性子を吸収するホウ素を含んだ特殊骨材を用いて作られる。同種の研究は以前から実施されていたが、中性子の減速と吸収の両方の性能を持ち、高速中性子に対しても十分な遮蔽効果のあるコンクリートを開発したのは、今回が初めてである。

 高エネルギー加速器研究開発機構とハザマでは、シミュレーション解析により骨材量と遮蔽性能の最適化を実施し、またコンクリート製造方法の改良を行うことにより、過去の研究では不可能であった高性能の中性子遮へいコンクリートを製造することに成功した。

 この中性子遮へいコンクリートの遮へい性能試験は、ハザマ技術研究所の中性子遮へい実験室(業界唯一)で実施した。また、コンクリートの強度は普通コンクリートと同等性能であり、長期的耐久性を示す乾燥収縮量や中性化深さ量については、普通コンクリートより良い性能を持つ。

 コンクリート材料の製造コストは、特殊骨材の分だけアップするが、PC板製品では普通コンクリートの高々約2割増である。また、本コンクリートを用いることにより建物重量を軽減できるため、基礎工事費を低減できると期待している。

 現在、環境問題に伴って原子力関連の施設は世界的に拡大の機運が高まっており、また中性子を利用した研究施設や、医療施設などの施設計画が国内に数多く存在する。現在、ハザマでは技術提案型の営業は必須と考えており、今後、当該施設に本技術の導入を積極的に提案していく予定である。なお、本技術に関して現在、特許を共同出願中である。

<用語解説>

1)中性子
  中性子とは放射線の一種であり、物質の透過力が強く、また人体に与える影響も大きいため、安全上、徹底した遮へい・防護が求められる。

<補足説明>

1) 開発した中性子遮へいコンクリート

図1 開発した中性子遮へい用コンクリート

2) 中性子遮へい性能試験結果

 中性子遮へいコンクリートの遮へい性能は、ハザマ技術研究所においてカリフォルニウム252核分裂中性子源(252Cf)の中性子に対する透過率によって評価した。結果は図3に示すように、中性子による被曝量を1/100に減衰させたい場合、普通コンクリートで62cm必要であるのを、中性子遮へいコンクリートでは38cmで減衰させることが可能である。つまり、中性子遮へいコンクリートは、普通コンクリートに比べ、約1.7倍の遮へい性能を持つ。また、シミュレーション解析で評価した中性子透過率(図3の実線)と良い一致を示すことも確認された。

図2 遮へい性能試験風景
(ハザマ技術研究所 放射線実験室にて実施)

 

図3 遮へい性能試験結果

3) 中性子遮へいコンクリートの基本特性

 中性子遮へいコンクリートの圧縮強度試験、乾燥収縮試験を行った結果を図4に、中性化深さ試験を行った結果を表1に示す。圧縮強度については普通コンクリートとほぼ同等である。また、乾燥収縮量や中性化深さについては、普通コンクリートより良い結果を示している。

図4 コンクリートの基本特性

 

表1 中性化深さ試験結果
(13週までの結果、単位:mm)

水セメント比
60%
水セメント比
50%
普通コンクリート
4.5
3.0
中性子遮へいコンクリート
3.5
2.0

 

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