
『ソイルセメント固化壁による高品質遮水壁築造技術の確立』
−透水性の高い砂れき地盤における大規模土壌汚染対策工事で採用−
2007年12月11日
ハザマは、2007年3月に都内の土壌汚染拡散防止対策工事において、原位置封じ込め措置として大規模な鉛直遮水壁を施工し、『高品質遮水壁築造技術』の効果を確認した。
ハザマは、2000年に『汚泥の少ない高品質ソイルセメント固化壁工法(※注1)』を開発、2005年に『ソイルセメント固化壁の排泥量低減化技術(※注2)』を確立し、この技術を環境負荷低減型の山留め壁工法として位置付け、全社的に事業展開してきた。この度、東京都内の土壌汚染拡散防止対策工事において、原位置封じ込め措置にソイルセメント固化壁の排泥量低減化技術を応用した『高品質遮水壁築造技術』が入札時VE提案で採用され、遮水壁深さ約19m、水平施工延長1250mに及ぶ大規模な鉛直遮水壁を施工するとともに、この遮水壁工事に伴い発生する建設汚泥の発生量を構築体積の30%以下に抑えることに成功し、その効果を確認した。この技術は、遮水壁に求められる遮水性を安定して確保するためのもので、ソイルセメント分散剤(ライオン(株)製)をセメントミルクに添加する排泥量低減化技術をもとに、室内配合実験と適用実績を積重ねて、ソイルセメントの遮水性のメカニズムを明らかにするとともに、配合と施工に関するノウハウを蓄積し、この度、業界として初めて、高品質な遮水壁のための配合設計手法および施工技術を確立することができた。入札時のVE提案では、所定以上の品質の遮水壁を築造することを前提に、「建設汚泥の発生量を低減すること、使用材料を低減することにより遮水壁工事費を3.5%圧縮すること」、また、「これに伴う搬入出車輌台数の減少により周辺への環境負荷を低減すること」を提案し、採用が認められた。今後ハザマでは当技術を、高品質な遮水壁築造技術として広く普及に努めていく。
ハザマの『高品質遮水壁築造技術』(※注3)は、排泥量低減化技術を応用したもので、「ソイルセメント分散剤」をセメントミルクのプラントに投入し、セメントミルク及びソイルセメントを流動化させることで、セメントミルクの注入量を減らし、透水性の低い高品質な遮水壁を築造するとともに、建設汚泥の発生量を抑制する技術である。
排泥量低減化技術を適用したソイルセメント壁は従来のソイルセメント固化壁に比べて透水性が低く遮水性に優れることから(※注4)、土壌汚染対策用の封じ込め遮水壁にも適用を積み重ねてきた結果、砂質土系地盤・粘性土系地盤のそれぞれの特徴に応じて水・セメント・ベントナイトの配合比率を調整するノウハウを確立することができ、各現場において遮水壁に要求される透水係数10-6cm毎秒以下を確保してきた。
今回の土壌汚染拡散防止対策工事(※注5)における地盤は、砂及び砂れきを主体とし(※注6)、水の通り道となる土粒子と土粒子の間の隙間が大きく、透水性が高い地盤であり、遮水性を確保することは困難である。このような地盤で遮水性を確保するには、土粒子の隙間を埋めるセメントミルク自体の透水性を極力小さくする必要があり、水セメント比が100%を下回るような高濃度、高粘性のセメントベントナイトミルクを注入することとなる。本現場ではセメントベントナイトミルクを流動化させてポンプ圧送しやすくするとともに、ソイルセメントの撹拌混合効率を高め建設汚泥の発生量を抑制することを目的に分散剤を添加した。(※注7)
その結果、遮水壁の透水係数は室内配合試験において設定した目標値(10-6cm毎秒の3分の1)をほぼ満足した(※注8)。また、建設汚泥の発生量を固化壁の構築体積に対する比率で30%以下に抑えて、当初予定したVE効果を実現するとともに、建設汚泥の運搬車輌による周辺環境への影響低減にも貢献することができた。
本技術の適用により、透水性が高い地盤においても要求性能を上回る遮水性を確保できることが確認できた。今後、本技術を適用した場合には、透水係数が要求性能より1オーダー以上小さいより高品質な遮水壁を確実に施工することが可能であると考えている。
2000年1月及び2001年9月に、「汚泥の少ない高品質ソイルセメント固化壁工法」を開発し、実用化したことを発表した。その内容は、数現場への適用結果から排泥量を従来の標準的な方法に比べ20%削減できたこと、および東京都中野処理場建設工事では入札時VEで採用が認められたことである。
2005年8月に、「ソイルセメント固化壁の排泥量低減化工法」を確立したことを発表した。その内容は、様々な地盤の特徴に応じて水・セメントの配合比率を調整するノウハウを確立することができたこと、NHK新徳島放送会館建設工事では排泥量を構築体積の19%に抑えられたことである。
本工法に使用する分散剤は、ライオン(株)の「ソイルセメント分散剤」である。
ポリカルボン酸系化合物を主成分としたもので、ソイルセメント中のセメント・ベントナイト・土粒子の表面に吸着し、その静電気的な反発力によって各粒子を個々に分散させるものである。
当社の技術は、この分散剤を用いて、セメントミルク及びソイルセメントに流動性を与え、従来に比べて少ない量のセメントミルクで撹拌混合することに特徴がある。これにより密実で透水性の低い遮水壁を築造することができるともに、発生する汚泥の低減が可能となる。

セメントミルクの注入率と透水係数の関係
| 工事名称: | 土壌汚染拡散防止対策工事 |
| 工事内容: | @遮水壁築造工事 A汚染土壌浄化・不溶化工事 |
| 汚染原因: | 河川敷の砂利掘削跡を埋め立て造成する際に産業廃棄物が一部混入したことにより土壌汚染が発生した。 |
| 遮水壁用途: | 土壌汚染拡散防止対策工事における原位置封じ込め遮水壁 |
| 規模: | 遮水壁深度約19m、水平施工延長1250m、遮水壁面積 23,750m2、封じ込め面積62,200m2 |
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セメントミルクプラント(3基) |
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施工状況 |
施工状況 |
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透水試験による透水係数の頻度分布 |





